ダチュラな私。

私は大丈夫だから。
もう気にしなくていいんだよ。

そう伝えようとしたときに、私を抱きしめている腕の力がさらに強くなった。


「最初は、罪滅ぼしのつもりだったんだ」

体がピクッと揺れる。

罪滅ぼし、という言葉だけが頭の中でクルクルと回っている。

それはなんとなく気付いていたことだけど、認めてほしくないことだった。


一成は、同情はしない。
だけど、情のある人だ。

そんな一成が自分が傷付けてしまったと思っている私を、放っておけるわけがない。

なんとなく気付いていたとはいえ、それが事実だと本人に突き付けられると胸が痛んだ。


「だけど、だんだんお前に惹かれていった」

それを覚られないように、必死で心の内側に押し隠そうとしていると。

とても固い声で、そう囁かれた。
< 329 / 342 >

この作品をシェア

pagetop