ダチュラな私。
長袖が似合う季節になった頃。
私はベッドに座って苛立ちを抑えながら、真新しい植物図鑑を広げた。
これは退院したときに一成からプレゼントされたもので、あるページにはピンクの付箋がはってある。
ボロボロになってしまったピンクの付箋には乱暴な文字で“ここを見ろ”と書いてある。
何度も見たそのページを開くと、そこには私の花であるダチュラが写真となっておさまっていた。
そこに書かれている説明文は私があの図書室で読んだものとほぼ同じだけれど。
ピンクの蛍光ペンで引かれた一文だけは、この図鑑を見るまで知らないものだった。