ダチュラな私。

三分前からカウントを始めた腕時計の秒針が二周回ってしまった。

本鈴が鳴るまで、あと四五秒。

さっき、一人きりのほうが楽だと思った自分を心底恨む。

ごめんなさい、と誰に対しての謝罪なのかわからない言葉を心の中で呟きながら。

腕時計と教室のトビラを交互に見た。


あと三〇秒……
あと二〇秒……
あと一〇秒……

そして一秒単位でカウントを始めて、五秒経ったとき。

無情にも、本鈴が鳴り響いた。


ああ、もう、最悪だ。

本鈴が鳴り響く中、大きなため息が出る。

これでもう、この授業を受ける生徒は私一人にほぼ決定してしまった。

と、いうことは私が問題を全て答えなければいけないということで。

全ての問題を答えようと必死になっている自分を想像してしまい、もう一つ、ため息が出そうになった瞬間。


教室のトビラが勢いよく開く音がした。
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