ダチュラな私。
その音の大きさに驚いてため息がとまる。
そしてその方向に目を向けたのは、人間として当然の動きだろう。
そして、教室に入ってきた人物を見て。
最悪だ。
と、私が思ってしまったことも、一昨日のことを考えれば当然のことだろう。
教室に入ってきたのは、私が今一番ムカついているあの男だった。
男は呆然としている私をちらりと見ると、何事もなかったかのようにトビラの目の前の席……一番前の壁側の席に座った。
そういえば……同じ高校だって言っていたような気がする。
だけど今まで一度も学校で会ったことなんてなかったのに、なんで今日に限って会ってしまうのだろう。
あの男と同じ空間に居ることが嫌で、帰りたいという気持ちが心の中を占領する。
でもそんなことをすれば逃げているみたいで、悔しいし。
私は横目であの男を見ながら、先生が一刻も早く来てくれることを願った。