ダチュラな私。
主観的には一時間。
しかし客観的には秒針が一周半を回ったとき、教室のトビラがゆっくりと開かれた。
「すみません、遅れま……あれ、今日は二人ですか?少ないですね。」
この授業担当のおじいちゃん先生が、驚きながら教室に入ってくる。
やっぱり二人は少ないよね。
私だって一年以上ここに通ってるけど、二人しか受けない授業なんて初めてだし。
おじいちゃん先生は黒板の前に立つと、ゆっくりとした動作で教卓の上に教材をおく。
本当にこの先生はのんびりとしている。
「では教科書の二〇ページ開いて下さい」
おじいちゃん先生のゆっくりとした動作のおかげでぼーっとしていた私は、慌てて指定された教科書のページを開いた。