ダチュラな私。

「一成!!お前、花ちゃんに謝れよ!!」

顰めっ面をした男に爽吾君がそう詰め寄る。

その顔は本気で怒っているようで、怒っている爽吾君を見たことがなかった私は驚いてしまった。

だけどやっぱりあの男は口を開くことなく、呆れたような目で爽吾君を見ている。


「そうよ!!花に謝りなさいよ!!」

そんな男の態度に怒りが頂点に達したのか、聖羅は右手で拳を握りながら足を一歩前に進める。

その姿に、前に聖羅が男友達を思いっきり殴り飛ばしたときのことを思い出した。


あのときはプライベートだったし殴られた男友達も自分が悪かったから、と納得していたからよかったけれど。

ここは学校で、相手はこの男だ。

退学とまではいかなくても、この男が殴られたと先生に言えば……間違いなく停学だ。

私は聖羅を止めるべく慌ててカバンを持ち、二人のそばに駆け寄った。
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