ダチュラな私。
聖羅と男の間に体を入れて、とにかく聖羅がこの男を殴れないようにする。
後ろにこの男が居ることは、何だか落ち着かないし嫌だけど。
今は聖羅を止めることが最優先だ。
真正面から見た灰色の瞳は、やっぱり怒りの感情でいっぱいになっていて。
爽吾君を見ると聖羅ほどではないにしろ、いつも優しげな灰色の瞳に怒りをあわらにしていた。
「ちょっと、二人とも……」
「なんで?」
“落ち着いて”
そんな私の言葉は、後ろから落ちてきた低い声によって遮れた。
その疑問が何に対しての疑問なのか一瞬、全く理解できなくて。
頭の中にクエスチョンマークを浮かべながら顔だけを後ろに向ける。
振り返ると私の視界には男が着ている黒いTシャツしか映らなかったので、視線をほんの少し上に向けて男の顔を見た。