ダチュラな私。
「ちょ、一成待てよ!ごめん!花ちゃん聖羅、カフェはまた今度な」
そして数秒ほど経った後、一番先に我に返った爽吾君が走って教室から出ていった。
爽吾君の声とその素早い動きによって、我に返った私と聖羅はお互いに顔を見合わせる。
だけど私はもちろん、聖羅も何を言えばいいのかわからないらしく、その顔には微妙な笑みが浮かんでいた。
一応私も聖羅に気を遣わせないように同じような微妙な笑みを浮かべてみたけれど。
内心、腸が煮え繰り返っていた。
あの男に対する感情は嫌いとムカつくだけで埋め尽くされていて。
もし、私が聖羅や爽吾君のように真っ直ぐな性格だったならば間違いなく、あの男を殴っていただろう。
「……もう帰ろうか」
だけど実際、私がそう出来るはずもなく。
もう二度と関わりたくない。
そう思いながら、微妙な笑顔のまま聖羅に声をかけることしか出来なかった。