ダチュラな私。
白の世界
二人が部屋から出て行ってからの一〇分間。
面白くもないテレビを真剣に見るフリをしながら、私は左側から感じる視線が気になっていた。
間違いなく、この男は私をずっと見ている。
確認したわけではないけれど人の視線に敏感な私は、見られているのか見られていないのか、感覚でわかってしまう。
これが普通の知り合いや友達なら笑顔を作って視線を合わせるのだけれど。
この男とだけは絶対に関わりたくない私は、気付かないフリをした。
ずっと気付かないフリをしていれば、そのうち諦めて視線を外すだろうと思って。
だけど、この男は想像以上にしつこかった。
なにを考えているのかはわからないし、わかりたくもないけれど。
なぜか私から視線を逸らさない。
関わりたくはないけれど、意味もなく見られているのは気分が悪い。
私は嫌々、本当に仕方なく、男と視線を合わせるべく左側に顔を向けた。