ダチュラな私。
理解したと同時に沸き上がってくるイラつきを越えた怒りと嫌悪感。
私は馬鹿にしているような視線を送ってくる男を無視して、ソファから立ち上がった。
爽吾君と聖羅には悪いけど、こんなことを言われてまでこの男と一緒にいる理由はない。
携帯を握り締めたままカーペットの上に置いていたカバンをとろうと前屈みになったとき、後ろでソファが軋む音がした。
振り返ろうか迷ったけれど、どうせ相手はもう顔も見たくない男だ。
一秒でも早くこの場所から立ち去りたい私は振り返ることもせず、右手を伸ばしてカバンの取っ手に指をかけようとした。
だけど指にかける寸前に、左の手首あたりに強い痛みを感じた。
そのあまりの痛みに手から力が抜け、手の中にあった携帯が落ちていく。
痛みの原因を探ろうと自分の手首を見ようとしたとき、さらに強い痛みが手首を襲い。
私の体は何かの力によって思いきり後ろに引っ張られた。