ダチュラな私。

ウザイ男



なんでこんなことになっているんだろう?


今日は聖羅(セイラ)と爽吾(ソウゴ)君と三人でカラオケの予定だったのに。

いや、確かにカラオケには来ているけども。

聖羅と爽吾君はステージに上がって、歌声を響かせてくれているけれど。

ついでに言えばその歌声から生み出されるハーモニーは本当に素晴らしくて、さすがは幼なじみ、と拍手を送りたいレベルだけど。

今、私がききたいのは歌ではなくて。


「花(ハナ)ちゃん? なにぼーっとしてんの?」

なんで名前も知らない男が私の隣に座っているのか、ということだ。


「ぼーっとなんてしてないよ。聖羅と爽吾君、仲良しだなと思って見てたの」

馴れ馴れしく名前を呼ばないで。

私はそう言いたい気持ちをぐっと堪えてステージに立つ二人から目を離し、隣に座る男に笑顔を向けた。
< 6 / 342 >

この作品をシェア

pagetop