ダチュラな私。
ウザイ男
なんでこんなことになっているんだろう?
今日は聖羅(セイラ)と爽吾(ソウゴ)君と三人でカラオケの予定だったのに。
いや、確かにカラオケには来ているけども。
聖羅と爽吾君はステージに上がって、歌声を響かせてくれているけれど。
ついでに言えばその歌声から生み出されるハーモニーは本当に素晴らしくて、さすがは幼なじみ、と拍手を送りたいレベルだけど。
今、私がききたいのは歌ではなくて。
「花(ハナ)ちゃん? なにぼーっとしてんの?」
なんで名前も知らない男が私の隣に座っているのか、ということだ。
「ぼーっとなんてしてないよ。聖羅と爽吾君、仲良しだなと思って見てたの」
馴れ馴れしく名前を呼ばないで。
私はそう言いたい気持ちをぐっと堪えてステージに立つ二人から目を離し、隣に座る男に笑顔を向けた。