ダチュラな私。
「爽吾。ちょっとこっち来て」
私を見たまま、声だけで爽吾君を呼んだ聖羅はなんだか迫力があった。
それはいつもの聖羅とは違って見えて。
だけど呼吸は出来るようになったものの、まだ少し息苦しさを感じている私は声が出なくて何も言えなかった。
「あ、ああ。花ちゃん大丈夫?」
爽吾君は聖羅の後ろから恐る恐るといった感じで、ちょこんと顔を出す。
そしてゆっくりと聖羅の隣に座ると、それと入れ代わるように聖羅が立ち上がった。
ほんの少し体をずらした爽吾君が、私の視線を遮ってしまったのでその背中を見ることも出来ない。
気を遣ってくれたのか、それなりに私と爽吾君には距離があるけれど。
やっぱり怖くて。
それを悟られたくなくて、頑張って顔の筋肉を動かそうとした瞬間。
なにかがぶつかるような激しい音が部屋に響き渡った。