ダチュラな私。
音に驚いて振り返った爽吾君と、少し体を起こした私が見たものは。
細い背中と。
その前で座り込んでいる男だった。
ただ座り込んでいるだけならばそんなに問題ではないけれど、男の唇の端からは血が滲んでいて。
何があったのかなんて聞かなくても明白だ。
「あんた花になにしたのよ!?」
馬乗りになって男の襟首を掴む聖羅は、顔を見なくてもその怒りが伝わってくる。
聖羅が怒っているところは何度か見たことがあるけれど、今の聖羅が一番怖い。
そんな怒りをぶつけられている本人は、抵抗もせずにほんの少し俯いていた。
「聖羅!!」
いつの間にか私の前から消えていた爽吾君が、聖羅を後ろから羽交い締めにする。
だけど聖羅はその細い体のどこにそんな力があるのかわからないけれど、それを振り払って爽吾君を睨み付けた。