ダチュラな私。
爽吾君を睨み付ける灰色の瞳には……
涙が浮かんでいた。
「爽吾!!あんたもあんたよ!!花になにかあったらどうするつもりだったの!?あんたが頼むから花を呼んだのに!!」
浮かんでいた涙がポトポトと落ちて、それを隠すように聖羅は両手で顔を覆う。
聖羅の目の前で佇む爽吾君も、座り込んでいる男も何も出来ずにいる。
もう、何もかもがぐちゃぐちゃだった。
「聖羅……私、大丈夫だから。爽吾君もごめんね。私もう帰るから」
だから、私が動くことにした。
ソファから起き上がり立ち上がって、そばに落ちていたカバンを手にとる。
私がこの場所からいなくなれば円くおさまる……とは思わないけれど、多少は落ち着いて話が出来るはずだ。
「ちょ、花!!」
「花ちゃん!!」
私を引き止めようとする二人の声を聞かなかったことにして、私は小走りで部屋を出た。