ダチュラな私。
聞き慣れないというか、初めて聞いたその声に驚いて顔を向けると。
そこには、黒髪の天使がいた。
少しウェーブがかった黒髪に、同じ色をしたとても綺麗な瞳。
キョトンとした表情で首を傾げているその姿は犯罪級に可愛かった。
身につけている青いTシャツと黒い半ズボンからして男の子だということはわかるけれど、例えばユニセックスな洋服を着ていたら私は間違いなく女の子だと思っただろう。
あまりの愛らしさに見とれていた私。
黒髪の天使はこめかみを押さえたままになっていた私の手をギュッと握りながら、その温かく小さな手で生え際の辺りを優しくニ、三度撫でてくれた。
「もうだいじょうぶだよ。
ちょっと待っててね」
まるで子供を宥めるような手つきとその言葉に、なぜだか涙が溢れそうになる。
溢れそうになるものをぐっと我慢して軽く笑みを向けると、黒髪の天使は安心したように笑い、トテトテとどこかへ消えていった。