ダチュラな私。
黒髪の天使がどこかへ行ってしまってから、私はその場にゆっくりと起き上がる。
周りを見回すと私が寝かされていた場所は見たこともない部屋のベッドの上で。
そこでやっと、ここはどこなのだろうという疑問が浮かんできた。
私が寝かされているベッドにテーブル、少し大きめの本棚と液晶テレビ。
シンプルなその部屋は寒色でまとめられているけれど、壁が焦げ茶色の木で作られているからか、寒々しい印象は受けなかった。
だけどやっぱりこの部屋に見覚えはないし、私の友人や知人にこの部屋が似合う人は誰ひとりとしていない。
そうなると、知らない人が倒れていた私をわざわざここまで運んできてくれたとしか考えられなくて。
でもこの現代にそんな親切……というか無用心な人がいるのかと頭を悩ませていると。
何かの香りが鼻腔を擽った。