ダチュラな私。
初めて感じるその香りは私の少ない語彙では、とても言い表せられない。
だけどそれは不快な香りというわけではなくて、むしろ安心させてくれるような優しい香りだった。
部屋を見回してもその香りの発生源となりそうなものは何もなくて、もしかして部屋の外からかな、と思い始めたとき。
壁と同じ色をしたこの部屋のドアが、がちゃりと音をたてながら開いた。
「大丈夫か?」
ドアを開けた人物は、私がこうなる原因をつくったあの男だった。
力が抜けていた体が固くなっていく。
男が一歩近付くたびに頭は痛くなっていって、掛け布団をぎゅっと握りしめた。
そして男がテーブルの前に座ったとき。
「ごめん。俺が悪かった」
「えっ?」