ダチュラな私。

私の言葉に男はただ頷くだけで、それ以外のリアクションは全くなかった。

「あと、携帯はカバンの中に入れといた」

爽吾の家に落としてたから持って来た、と言いながら指差す先はベッドの下。

少し体をずらして下を見ると、ベッドのすぐ脇に私のカバンがおいてあった。


今まで携帯の存在をすっかり忘れていた私。

自分の馬鹿さ加減に呆れながらも、聖羅と爽吾君にメールを送ろうとカバンに手を伸ばしたとき。

不思議な香りをさっきより強く感じた。


「ねえ、この香りはなに?」

伸ばしていた腕をとめて少し迷いながらそう尋ねると、男は首を傾げる。

だけどすぐ合点がいったようで納得するように、ああ、と呟いたあと。

「うちハナヤだから」

と、私の問いに対する答えをくれた。
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