ダチュラな私。
ハナヤ、と言われてもすぐにはそれが花を売る花屋とは結び付かなかった。
それはこの男と私が持っている花屋のイメージが掛け離れているせいだろう。
この男は花を愛でるどころか、むしり取ってしまいそうだ。
「そうなんだ」
でも人の神経を逆なでするようなことを、わざわざ言う必要はない。
私は質問の答えにそう返事をして、もう一度カバンに手を伸ばした。
携帯を開くと、そこには新着メールを示すマークが浮かんでいた。
メールを開くとそれは聖羅と爽吾君からで、要約すると夜に連絡するという内容だった。
この男が二人に連絡していたのかメールには、どこにいるのか、というような言葉はどこにも書いていない。
とりあえず、心配はかけていないと判断して携帯をカバンにしまっていると。
「なにかされたのか?」
気を遣うような、それでいて確信しているような声が鼓膜を揺らした。