ダチュラな私。

それでなくとも静かだった部屋は、突然落とされた言葉によって息苦しいほどの静けさに包まれる。

ゆっくりと男に視線を向けると、漆黒の瞳は真っ直ぐに私を見つめていた。


確かに。
私のあの反応は異常だ。

過去になにかがあったと考えるほうが、素直な思考だと思う。

むしろあのときの私を見て何も思わなければよっぽどの鈍感か、こう言っては失礼だけど頭が悪いとしか思えない。


「別に。なにも……」

「嘘つくなよ。
話したくないなら別にいいから」


でも、出来ることならば。

ごまかしたかった私がつこうとした嘘は、最後まで聞いてもらうことが出来ず。

知らないフリとか気付かないフリをしない男は、真っ直ぐな瞳のままそう言い切った。
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