ダチュラな私。
初めて会ったときからそうだったけど、この男は嘘とか偽りに敏感な人間だと思う。
同時にそれらを嫌悪している。
それはこの男が、嘘も付かないし偽ることもしない人間だからだろう。
だからこそ、知らないフリも気付かないフリもしない。
だからこそ、私にも嘘を付くくらいならなにも話すなと言う。
聖羅や爽吾君の真っ直ぐさが柔ならば、この男の真っ直ぐさは剛だ。
でも、だからこそ。
話してみようと思った。
嘘を付くことも偽ることもしないこの男が私の昔話を聞いて、どういう反応を示すのか。
同情もその場限りの慰めもしないだろうこの男が、全てを話し終わったとき。
何を思い、どんな言葉を紡ぐのか。
「……たいしたことじゃないよ。
昔、ストーカーされただけだから」
その真っ直ぐな瞳に私はどう映るのか。
そんなことを考えながら、私は昔話を語り始めた。