ダチュラな私。
触れてみても近くで見ても、やっぱりその花に見覚えはなくて首を傾げる。
どれだけじっくり観察してみても全くわからなくて、帰ったら調べようと考えながら立ち上がりかけたとき。
“何をしているんだ!”
そんな大きな怒鳴り声がすぐ真後ろから聞こえて、肩が跳ね上がった。
その怒鳴り声は近所の少し怖いおじいさんのものだとすぐにわかったけれど。
なぜそんなに大きな声で怒られているのかわからないまま、私は後ろを振り返る。
だけど、違った。
おじいさんは私に怒っていたのではなくて。
私に触れようとしていたらしい男に向かって怒っていたのだ。
おじいさんに右手を掴まれている男の顔は、おじいさんの体に遮られて見えなかったけれど。
私に伸びてきている真っ白の手が目の前にあって、私はそれをただ呆然と見つめることしか出来なかった。