ダチュラな私。

「……嘘だろ」

信じられない、というように目を見開く男に私は笑みを向ける。

それが現実なのだと告げるために。


……でも、これは私に限った話ではない。

実際に女の人がこういう事件の被害者になれば根も葉も無い噂を立てられる。

部外者達には真偽なんて、どうでもいいことなんだろう。


ただ、より刺激的に話を作り替えて、つまらない日常のスパイスにしていくだけだ。

被害者の気持ちなんて一切考えずに。


「私、何て言うか冷めた子供だったから余計にそれが事実のように広まっていったの」

“花ちゃんは本当にしっかり者ね”

“うちの子も花ちゃんくらい大人っぽくなってくれればいいのに”

それが褒め言葉ではなく、私に対しての嫌みだということをそのとき初めて知った。

「学校では仲間外れにされて近所の人達からは白い目で見られて。味方は家族と、私を助けてくれたおじいさんだけだった」
< 95 / 342 >

この作品をシェア

pagetop