ダチュラな私。
「それから私、演技し続けたの。
私を仲間外れにするクラスメイトにも、白い目で私を見る大人達にも、とにかく子供らしくいつも笑って対応した。
そうしてたらね、いつの間にかそんな噂を堂々と話す人はいなくなったの」
もちろん陰では色々と言われていたけれど、それでも私の気持ちは随分と楽になった。
自分を偽ることに最初は罪悪感もあったけれど、そんなものはすぐに消えていった。
偽りでもなんでも、やっと居心地の良い生活を手に入れられたのだから。
「だから今でも笑ってんのか?」
たくさんの感情がごちゃまぜになったような、複雑な表情で言葉を紡ぐ男。
だけどその漆黒の瞳は揺れていない。
「もう癖になってるの」
揺れないその漆黒の瞳を羨ましく思いながら、その証拠に私は今日一番の笑顔を向けてやった。