ダチュラな私。

瞳が揺れない人は強い。

どれだけ驚いていても、慌てていても、恐怖に怯えていても。

瞳が揺れない人は、いつもどれが最善なのかを見極めることが出来る。


「自分でもわかってるんだよ。大したことがあったわけでもないのにいつまでもアイツに怯えて、男に怯えて、人の視線に怯えて。……馬鹿みたいだって」

そんな瞳をずっと見つめていたからか、ポツリとそんな本音をもらしてしまった。


これは私が自分自身にずっと言い聞かせてきたことであり、たくさんの人から言われてきたことでもある。

頭では言葉の意味も、そう言ってきた人達の気持ちも充分に理解出来ていた。

だけど弱い私は、理解は出来てもそれで全てを整理することは出来なかった。


「そんなふうに言うなよ」

揺るがない瞳を持っていれば過去と向き合えていたのかな。

と、自嘲した笑みをこぼしていると、予想もしていなかった言葉を投げ掛けられた。
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