蕾
♭甘い香り
その時、甘い香りがした。
イチゴの甘ーい甘ーい香り。
「ねぇ里沙っ!今隣通り過ぎたのって加山くんじゃない!?」
いつものようにハイテンションな双子の妹の里奈は、興奮しながらあたしに言ってきた。
「加山…くん??」
全く"加山"って人を知らないあたしは里奈に聞き返した。
「そう!知らないの?サッカー強くて、優しくて、人気もので…」
里奈は一度語りだすと止まらない。
だからあたしは途中からは聞き流す。
その話しが男の人の話しならなおさらね。