【実話】アタシの値段~a period~
『何やってんだろ…』
少し先に見えたコンビニに入ると
レジを打つ中年店員の
ジロジロと
ぼろ雑巾でも見るかのような視線が
異様に不愉快だった。
温かい缶コーヒーを一本買って表へ出る。
屋根があるにも関わらず
濡れてしまっているベンチがある。
50センチもないこんな頼りない屋根で
雨風を防げるわけはない。
雨ざらしのベンチは
色褪せながら悲しそうに
たたずんでいた。
まるで、自分みたいだと思った。
寒いよ、って
悲しいよ、って
誰にも言えない
自分みたいだ……と。