【実話】アタシの値段~a period~
シトシトと、泣いているように
雨水を地に落とすベンチの横で
アタシは缶コーヒーをギュッと握り
口に煙草を咥えた。
上着のポケットから取り出したライターは
湿った空気と風に邪魔されて
虚しく、火の粉だけを飛ばした。
アタシは一つため息を吐いて
ライターと煙草を上着のポケットに戻す。
代わりに缶コーヒーの封を切って口をつける。
喉を伝って胃の中へと流れ込む温かさに
なぜか、ギュッと目の奥が痛くなった。
アタシは歯を食いしばる。
…だからイヤなんだ。