【実話】アタシの値段~a period~
俺は一人の部屋で‥
いや、"一人になってしまった部屋"
と言った方が正確だろうか‥
泣きながらユキが飛び出して行った理由を探していた。
けれど、答えが見つからない。
あれから何時間経っただろうか。
こうしてソファーに膝を立てて座ったままに。
手の付けられていないケーキを見つめながら。
俺は携帯を開き、彼女の名前を導きだした。
ユキ‥
〓帰っておいで〓
と、さっき送ったメールには
〓そこはアタシの家じゃない〓
そう返信があった。
"帰っておいで"
なんて、馴々しい言い方をしてしまった
俺が悪かったのか
それでも、さっきまでこの部屋で笑っていた彼女に
突然あからさまな拒絶を受ける理由は
やっぱり見当たらなかった。
この寒空の下、
ましてや誕生日だというのに
一人、夜道へ飛び出した彼女は
今、何を思うのだろうか‥