【実話】アタシの値段~a period~
スウェット姿のまま、部屋を飛び出したのは
今日、3回目。
――
――――
彼女の姿を見つけたのは
車を10分ほど走らせた
コンビニの屋根の下だった。
「何してんの?」
そう言って差し出した傘を彼女は受け取らない。
視線も合わせなかった。
関係ないでしょ、
冷めた目で言い放った彼女の吐く息だけが
ふわっと風に舞って
虚しく消える。
「とりあえず、車乗れよ…」
『……。』
小さな沈黙は
彼女の靴音で破られた。