【実話】アタシの値段~a period~
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背中が痛い…
目を開けると、いつもとは違う天井が視界に入った。
時計を見ると、もう昼だった。
…寝てしまったのか。
ユキが風呂を出るのを待てずに
俺は、ソファーで寝てしまっていたのだ。
そういえば、ずいぶんの間、まともに寝ていなかった。
あれ…?
しっかりと毛布まで着て居るのは…
…ユキが着せてくれたのだろう。
彼女がこんな優しさを見せるのは以外に思えたが、
本当のユキは、とても優しい子なのではないかと思った。
目を擦りながらリビングを見渡す。
彼女の姿がない。
…また、どこかへ行ってしまったのか?
昨日、出て行ったのを無理やり連れ戻したんだ、不思議な話しではない。
けれど、ふと視線を落とした先には彼女のカバンがあった。
ホッと息を吐いて、寝室をのぞくと
毛布を一枚、俺に着せたせいか
寒そうに丸く小さく、ベッドの隅で眠る彼女の姿があった。
寝顔は、普通の18歳の女の子だ…
いつも威嚇するような目で、他人を見ている彼女が、ちゃんと息をできるのは
眠っている時くらいなんだろうな…
静かに寝息を立てる彼女の安心しきった寝顔が
また一つ、罪悪感を染みにして、俺に残す。