【実話】アタシの値段~a period~



『てゆうか、いいとこ住んでるよね。』


ブラインドを上げて、窓の外を見下ろすユキが言った。


「この辺、駅歩もあるし、家賃安いんだよ。」


そう俺が答えると


『そうなんだぁー。寂しくない?一人暮らし。』


と、今度は空を見上げるユキ。


平気だよ、と言いかけて

「まぁ…な。」


と俺は言った。


『だよね、隆志はそんな感じ。』


一度振り返ったユキは、ニコっと笑顔を作ってまた、空を見上げた。


「なんだよそれーどんな感じだよ」


ユキの隣りに並んで、同じように空を見上げた。


今日の空は泣いてない。


『寂しがり屋さんって感じ?』


あはは、と静かに笑うユキが


『空…綺麗だね。』


と呟いた。



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