【実話】アタシの値段~a period~




ユキは

そうだね、
と微笑んで

キザだったかな、
と少し照れた俺は

うん、と頷いて
さり気なく下を向いた。



あ……

まただ………




「なぁ、ユキさん。」


『なんでしょうか、隆志さん。』


ケラケラと笑うユキの足元を指差して


「スウェット…下も渡しましたよね?」


不思議そうにコクンと頷く彼女に


『では、履いてもらえませんかね?』


ポリポリと頭を掻きながら、窓の方に視線を向ける。


「なんで?」


…なんで?

えーっと…


『僕も男の子なので…』


正直にそう言うと、

あはははは、と
ユキは声を出して笑いながら、

寝室へと入って行き、


帰って来た時には、ちゃんとズボンを履いていた。



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