【実話】アタシの値段~a period~
浩介が探してきてくれた部屋に
住み始めてから
一週間が経った。
まだカーテンもない狭い部屋のベランダに立つと
遠くに、背の高い
隆志のマンションが見える…。
浩介が探してくれたこの物件は
偶然にも、隆志の部屋の近くだった。
違う部屋を探してほしい、と頼めば
すぐに探してくれたんだろうけど
せっかく探してくれた浩介に悪いと思った。
…なんて、言い訳かな。
隆志の近くに居たかったのかもしれない。
浩介に、この物件を紹介されるまで、
もしかしたら
もう二度と
隆志には会えないかもしれないと
思っていたから。
あの日から、一度も
隆志の着信は
ない。