【実話】アタシの値段~a period~
『そう、近くに居たの』
たまたまね、
と付け加えた後に
これは余計だったか
と思った。
「でもさっき寝てたって言ってなかっ‥」
『あー、お腹空いたっ』
隆志の言葉を遮るように、アタシはキッチンに向う。
「あ、ユキは座ってろよ。」
ねぇ隆志?
アナタがアタシの名前を呼ぶ度に
アタシの鼓動は、こんなに早くなるよ。
それだけでいい。
それ以上は要らないから……。
アタシに
誰かを愛する権利はないの。
アタシは
愛する人の
心でさえも
容赦なく切り刻むような人間だから………