【実話】アタシの値段~a period~
今夜も、
独りの夜に
手を伸ばす。
さっき電気を消した部屋の片隅。
暗闇の中、気付いた時には もう手遅れだった。
俺の耳に押しつけられた携帯の呼び出し音は
小さく吐いた
ため息の音をかき消す。
後悔と期待が
俺を支配する。
もう、ほんと
自分の意思の弱さには自分でも呆れてしまう。
眠る前の30分、こんな葛藤に何度も寝返りを打ち
俺はその度、
見えないもう一人の自分との戦いに
あっさりと負けていた。