【実話】アタシの値段~a period~
「しょうがねぇなぁ」
『やったぁ』
パタパタと尻尾を振って喜ぶ
上等な子犬のように
ユキの目がキラキラと。
食べ物一つで
こんな顔を見れるなら
いくらでも作ってやるのにと
俺は呆れたように微笑みながら思った。
『え、カルボナーラって生クリーム入れるの?』
フライパンの中を
まじまじと覗き込みながら
ペチペチと俺の肩を叩く。
「知らなかった?」
『うん、牛乳だと思ってた。』
あはは、と俺が。
何よ、と彼女が。
そんな戯れが
俺には何より
幸福な時間だった。