【実話】アタシの値段~a period~
いたたまれない表情で
頭を掻いた浩介は
「じゃあ俺、飲み物買ってくるから。」
ちゃんと話せよ、
と、アタシに言い残して
隆志の隣りを抜けて部屋を出て行った。
浩介の靴音が遠ざかる音は
静かに部屋に
やけに響く。
『なんでこの部屋が分かったの?』
下手な弁解は余計に誤解を招くような気がして
アタシはそんな質問をした。
と言うか
今はそれしか言葉が思い付かなかった。
何を言えばいいのか
分からなかった。
「………。」
隆志は何も答えない。
『……後つけたの?』
きっと最初からアタシは
それしかないと
分かってた。