【実話】アタシの値段~a period~
「あ、おい!!」
浩介に呼ばれ振り替えると
「さっきからずっと思ってたんだけど
タカシ君さぁ、前にどっかで会ったことない?」
………?
こんな男、
一度会ったら忘れないと思うのだが…?
「いや、ないと思う。」
そう答えると
「そう?」
と、頭を傾げながら
今度こそ浩介は
アパートへと入って行った。
俺は一つため息を吐いて
ユキの部屋を見上げる。
本当にこれでユキと終りなのだろうか……。
朝焼けに染まるアパートの
部屋のドアに
浩介が入って行くのを見つめながら
ユキの言葉を思い返す。
『アタシ、5万円』
今にも壊れそうなユキの
傍に居る権利が
今はあの男にしかない。
ユキが居なければ
俺には
もう何も ない