【実話】アタシの値段~a period~
あの日から一ヶ月が経ち
もう本当に終わってしまったんだと
やっと自覚し始めた。
何度も何度も
携帯の画面に、隆志の名前を導き出したけど
発信ボタンを押す勇気は
どうしてもなかった。
自分から別れを告げる勇気なんて
きっと隆志だって持ち合わせてはない。
『彼は優しい人だから』
そう言ったら
「だけどそれは、時に
人を追い詰める。
そんなものは優しさじゃない。」
と、こないだ浩介に言われた事を思い出す。
だけどアタシは別に
隆志に追い詰められたわけじゃなく
自分で自分を追い詰めたのだから
隆志は何も悪くない。
あの日の彼の言葉だって
アタシが言わせたようなものだった。