【実話】アタシの値段~a period~
仕事を片付け、会社を出た俺たちは
車で繁華街へと向かった。
キャバクラや、風俗、
すり寄る客引きを交わしながら歩く。
女と楽しく酒を飲むような余裕など
今の俺は持ち合わせていない。
「お前、携帯鳴ってない?」
胸ポケットを指差しながら言った同僚の言葉に
俺はハッと、急いで携帯を取り出す。
「誰だコレ……」
画面には、知らない番号が浮かんでいた。
「はい、もしもし。」
よそ行きの声を出した俺に
返ってきたのは男の声……。
「もしもし?隆志くん?おーれぇー、分かる?」
分からないわけがなかった。
こんなふざけた話し方も
こんな風に俺を呼ぶ奴も
心当たりは一人しかいない。
「あぁ、アンタか……。」
電話の相手は
あの浩介だった。