【実話】アタシの値段~a period~
こうして見ると
絵になる男だ。
俺には不似合いとしか思えないクラッシックな店内も
ロックグラスに美しく反射する黄色い照明の色も
奴には良く似合っていた。
もっとも、そう思うのは
会話が聞き取れないからではあるのだが。
現に、
「あ、隆志くん!!」
ニパっと笑い手招きをした浩介は
さっきとは別人のように軽い。
「アンタって喋らなければモテそうだよな。」
そんな皮肉…というか、本音を言いながら
浩介の隣りに腰をおろした。
「残念ながら喋っててもモテるんだよねー。」
それはそれは、
などと余裕の笑いを取り繕いながら
俺はその時、初めて気付いた。
浩介もまた、
微妙なイントネーションや
語尾を伸ばす癖が
ユキと良く似ている。