【実話】アタシの値段~a period~
「隆志くん何呑む?」
グラスのアイスをカランと鳴らす浩介。
「あぁ、ここ毎日呑んでたから、今日は酒はやめとくよ。」
本当は、この街に
酒を呑みに来たのだが
今日ばかりは、素面で居なければいけないと思った。
酒で定まらなくなった思考で
この男と会話をするなど
危なすぎる行為だ。
何を言ってしまうか分からない。
「もし宜しければ、珈琲なども置いてますので。」
雰囲気のある華奢なマスターは
しゃがれた声で微笑み
「それは珍しいですね。」
と、珈琲を注文した。