【実話】アタシの値段~a period~



「触れられなかった……?好きすぎてとか?」



あはははは
と肩を揺らして笑う浩介は



「隆志くんはピュアだね。ユキはお前のそこに惹かれたんだろうね。」



そう言って、もう一度、口の中の八重歯を見せて笑った。


浩介が実年齢よりも若く見えるのは


笑った時に顔を出す
この八重歯のせいじゃないか


なんて、どうでもいい事を考えた。




「じゃあ、なんでだよ。」


普段、年のわりには落ち着いていると言われる俺も


この男の余裕の前では


まるで、子供のようだ。






「まぁ確かに、それもあったかも知れないな。


アイツさ、出会った頃は


ほんとに死んだみたいに生きてたんだよ。」



< 328 / 480 >

この作品をシェア

pagetop