【実話】アタシの値段~a period~
「触れられなかった……?好きすぎてとか?」
あはははは
と肩を揺らして笑う浩介は
「隆志くんはピュアだね。ユキはお前のそこに惹かれたんだろうね。」
そう言って、もう一度、口の中の八重歯を見せて笑った。
浩介が実年齢よりも若く見えるのは
笑った時に顔を出す
この八重歯のせいじゃないか
なんて、どうでもいい事を考えた。
「じゃあ、なんでだよ。」
普段、年のわりには落ち着いていると言われる俺も
この男の余裕の前では
まるで、子供のようだ。
「まぁ確かに、それもあったかも知れないな。
アイツさ、出会った頃は
ほんとに死んだみたいに生きてたんだよ。」