【実話】アタシの値段~a period~
「そう、俺がユキに惹かれた理由にな…。」
あまりに愁いを帯びた横顔。
俺は、酒を飲みながら
黙って話しを聞くしかできなかった。
「俺にも、両親がいないんだ。
俺の場合は、片親で育ててくれた母親が16の時に死んだんだけど
普通の高校生だった俺の人生はそれから、180度変わったよ。
悪い事はなんでもしたよ。
って言っても、ガキのやることだから
たかが知れてたけどな。
喧嘩とか、恐喝とか…
まぁ、非行少年の通る道だ。
実は一度だけ、少年院にも行ったんだよ。
一年間経って、少年院を出て
相変わらず、俺は…
いや、むしろ博でも付けたかのように
同じような事ばかり繰り返した。
自分でも何が気に入らないのか分からなかったよ。
そんな時、一人の女に出会ったんだ。
好きになって、必死で振り向かせて
仕事も真面目にした。
そして俺達は
21歳のクリスマスに
籍を入れたんだ。」