【実話】アタシの値段~a period~
「結婚してたのか?」
「あぁ、よく分かってるな。
"してた"…そう、過去形なんだ。
2年と、もたなかったよ。
人間、そうそう簡単に変われるわけなかったんだ。
2年の間で、3回仕事を変えた。
気に入らない事があると
どこへ行っても喧嘩になった。
終いには、働かなくなった俺に愛想を尽かして
アイツは出て行ったんだ。
それはそれは後悔したよ。
失くしてから気付いたことも、
自分の生きてきた道の全ても。
それから俺は、必死に働いた。
いつか、アイツを迎えに行こうと心に決めたから。
で、やっと独立の目処が経った時
もう5年が経って居た。
そして俺は知ったんだ。
彼女はもう3年も前に、別の男と幸せな家庭を築いていたことを。」
ベタなドラマみたいだろ?
と、浩介がそう
笑いながら言ったから
そちらに視線を向けたのに
その顔は、少しも笑えて居なかった。