【実話】アタシの値段~a period~
チクタク
チクタクと
古いアナログ式のかけ時計の音が、やたら耳につく。
「デジタルか、せめて静かなのに買い替えたら?」
そういえば、誰かにそう言われた事もあった気がする。
あれは誰だっただろう。
いつかこの部屋に招入れた、一晩だけの相手。
そんなところだろう。
俺に背を向けて
煙草の煙を吐くその女性は
確か、ベッドを降りながらそう言った。
顔は覚えていない。
それは、きっと向こうも同じ。