【実話】アタシの値段~a period~
「お兄さん一人?」
バニラの様な強い香水の香りと共に
俺の隣に腰掛けた見知らぬ女は
明らかに、年下だった。
『いや、連れが居る。』
フラ~っと席を立ったまま、
もう15分は経つのに
全く戻ってくる気配のない゙連れ゙にイラつきながら
俺は素っ気なく返事を返した。
およそ、好みの女でも見つけて
今頃は口説きに入っているに違いない。
「クラブ来て、カウンターで一人酒なんて つまんないでしょ?」
『連れが戻ってこないんだよ。』
「じゃあ一緒に飲もうよ!!」
ニコリと笑ってグラスを掲げた彼女は
よく見ると
先ほど思ったよりもずっと若く見える。
『もしかして未成年じゃな…』
そんな俺の言葉を遮るように
「あっ!!ヒトミー!!」
と、背後から隣に座る女に向けて
歓喜の声が飛んできた。
゙ヒトミ゙と呼ばれた女が振り返ると同時に
俺も、その声のする方へ振り向く。