【実話】アタシの値段~a period~
「じゃ、俺ヒトミちゃんと帰るから♪」
あれから二時間。
そんなことを言い出したトオルに
「え~~何ソレ。いつ決まったのよ。」
と、ヒトミは満更でもなさ気に。
「マヤど~する?」
「あたしまだ居る~。ユキ来るし。」
ふるふると首を横に降った後
眉を緩ませニコリと笑ったフランス人形。
「相変わらず仲いいよね~アンタ達。」
まあね、と更に眉を緩めた彼女は
うるさい人混みの中へと帰って行った。
引き留めて、携帯を聞こうかとも思ったが
10代ほどの娘に
必死になるのもどうかと思ったし
先ほど、彼女がトオルに
あからさまな拒絶を向けていたことを思うと
そんな勇気は
どうにも湧かなかった。
その日はそのまま
トオルとヒトミを見送り、家路についた。
…もう一度会いたい。
眠りにつく頃には
それしか考えられなくなっていた。