【実話】アタシの値段~a period~






「じゃ、俺ヒトミちゃんと帰るから♪」



あれから二時間。



そんなことを言い出したトオルに


「え~~何ソレ。いつ決まったのよ。」


と、ヒトミは満更でもなさ気に。





「マヤど~する?」


「あたしまだ居る~。ユキ来るし。」


ふるふると首を横に降った後

眉を緩ませニコリと笑ったフランス人形。


「相変わらず仲いいよね~アンタ達。」


まあね、と更に眉を緩めた彼女は


うるさい人混みの中へと帰って行った。



引き留めて、携帯を聞こうかとも思ったが


10代ほどの娘に
必死になるのもどうかと思ったし


先ほど、彼女がトオルに

あからさまな拒絶を向けていたことを思うと

そんな勇気は
どうにも湧かなかった。





その日はそのまま
トオルとヒトミを見送り、家路についた。






…もう一度会いたい。



眠りにつく頃には
それしか考えられなくなっていた。



< 387 / 480 >

この作品をシェア

pagetop