【実話】アタシの値段~a period~
―――――翌日
「…派手なアクビだな。」
出勤早々、会社の喫煙所で
顎がはずれんばかりの大口でアクビをするトオルは
「おかげさまで~」
と目を細め
自慢気な顔をした。
「何?落とせたのか?」
いつまでも目を細めたまま
ニヤけるトオルの顔面に
煙草の煙を吹きかけてやった。
はぁ~~…、
と 首を横に降りながら
大袈裟にため息を吐いたトオルは
「お前って何でそんな野蛮なの。落としたとか言うなよ。"ピュアラブの始まり"って言えよ。」
と、俺の肩に手を置いた。
「言わねぇよ。」
ピシャリと言って
また煙草の煙を吹きかけてやった。
「つーかあの娘…ヒトミだっけ?いくつだよ。かなり若く見えたんだけど。10代じゃね?」
「あー…まぁな。」
言い辛そうに視線を伏せたトオルは
ポツリと、蚊の鳴くような声で驚くべき言葉を呟いた。
「…………16。」